塾長のカナダ武勇伝(?)―その4 語学研修Ⅲ-
2018-03-05 21:27:51
すかさず! 大きな声で! スマイル!!
私(たち)は,あなたのことを誰よりも精一杯愛している。
みなさん,こんばんは!!
「生きる自分への自信を持たせる
鍛地頭-tanjito-」の副塾長,住本小夜子です。
今日は,
「塾長のカナダ武勇伝(?)」の続編をお楽しみください。
↓これまでの記事↓
【塾長のカナダ武勇伝(?)-その1-】
【塾長のカナダ武勇伝(?)-その2 語学研修Ⅰ-】
【塾長のカナダ武勇伝(?)-その3 語学研修Ⅱ-】
明日からのダイナミックな語学研修を前に,
カニのようにブツブツと「Survival」を唱え続ける塾長。
そこは,バンクーバー島ビクトリアの海が見える白いレストランでした…。
◇◆…◆◇…◇◆…◆◇…◇◆…◆◇…◇◆…◆◇…◇◆…◆◇…◇◆…◆◇…
塾長:[Survivalか…,そうだよなあ…,Survivalだよ…,うん,Survivalだ,
見知らぬ広大な街に,方向音痴で英語が話せないわしが,ひとり,投げ出
されるんだぞ…単身で未開のジャングルをさまようようなもんだ…生きて
帰られるのか!? 〔注:塾長! 大袈裟ですよ!〕…やっぱり,Survivalだよ,
うん,Survivalだ! Survivalに違いない!]
塾長:…ぶつぶつ,ブツブツ…
おしゃれな白いレストランは,給仕もおしゃれでした。
イケメンのウェイターが,ぞろりと揃い,
中にはローラースケートを履いたイケメンもいます。
そのローラースケートのイケメンウェイターは,
普段,スケート技をちらっと披露しながら,
テーブルにおいしい料理を運んでくれるのです。
塾長:[うん? そう言えば,あのローラースケートのイケメンウェイター,
さっきから,ニコニコ,わしのことをじっと見とるわい。]
ローラースケートのイケメンウェイターは,
料理が出される配膳口のカウンターに肩ひじを突きながら寄りかかり,
長い右脚を前に組んで,スケートを履いた爪先を上げ,
イケメンスマイルで塾長に熱い視線を送っているのです。
塾長:[そんなにわしのことが恰好ええんかのう。自慢じゃないが,日本じゃ,
いっこもモテたことのないわしじゃが, さすがカナダじゃ! 同性に
恰好ええと思われるということは,わしはほんまに恰好ええんじゃのう!
〔注:おいっ!〕]
店内:ざわざわ,ザワザワ…ウォ~!
塾長:[なんじゃ!? 配膳口付近の客が小さな感嘆をもらしながら,ざわめいと
る。ここからはよく見えんのう。]
店内:ザワザワ,ざわざわ,ザワザワ,ドウォ~!!
塾長:[な,な,なんじゃ!?]
塾長:[ウォ~,あのローラースケートのイケメン, 配膳口前で4回転しちょる!
羽生結弦と同じぐらいに回転が切れちょるで!〔注:塾長! 時代が違いすぎ
ま~す!!〕かっちょええ~!]
塾長:[で,なんで,踊ってんの?]
塾長:[なんじゃ~!!! あのバカでかいカニは!?]
ローラースケートのイケメンウェイターの右手には,
トレーから脚がはみ出てぶらさがった,赤い,大きな,大きなカニが,
ギロリと塾長を見据えて居座っていたのでした。
注:写真の料理は本文中のレストランのものではありません。
塾長:[でけ~! カナダはなにカニとスケールが違うわい…
いかん! スケールのでかい語学研修を思い出したわい! それにして
も,あんなバカでかいカニ,誰が食べるんじゃ?]
店内:ウォ~,ウォ~,ピューピュー〔注:指笛の音〕
ローラースケートのイケメンウェイターはキレのある回転に,
さらにキレを加え,テーブルの間を小気味よく,
くるりんクルリンとすり抜けながら,
とても楽しそうに給仕活動をこなそうとしています。
店内:ウォ~,ウォ~,ピューピュー
塾長:[あれを食べるのに何時間かかるんじゃろう? ひとりで食べるのか?
まさか…どこのグループが頼んだんじゃ…? そんなグループは見当たら
んぞ?]
ウェイター:さあ,どうぞ!!
注:写真の料理は本文中のレストランのものではありません。
塾長:わしかー!!!
ウェイター:今日,僕は幸運です。このカニを運べたのですから。年に数杯しか出
ませんからね。
店内:パチパチ,バチバチ〔注:拍手喝采〕
塾長:[な,な,なんてことだ! 確かにカニを頼んだが,
こんなバカでかいのが来るとは思わんかったわい!! しかも,こ
れって,スタンディングオベーションってやつか!? お客が立って拍手
してるぞ! こっちに大挙して寄ってくる! 来るな~!
わしは英語が話せないんじゃ!]
ウェイター:お客様も喜んでおられます。応えてあげてください。
塾長:[来た~! だから,英語はムリって…〔注:顔面蒼白〕]
塾長はとっさに,中腰のまま,中途半端に立ち上がり,
四方のお客様にぺこぺこ。
敬礼した右手を遠慮気味に小刻みに振りながら,蚊の鳴くような声で,
「Thank you…」
を繰り返したのです。
温かい笑顔が塾長をぐるりと取り囲み,拍手は鳴りやみません。
塾長:[助けてくれ~,地獄じゃ~!]
塾長:[ふ~,ようやくお客が席にもどってくれたわい。それにしても,まだ多く
のお客の注目を浴びとるなあ…。そうか,このバカでかいカニ
を食べるわしの雄姿を見たいんじゃなぁ。今度は恰好よくキメんといかん
ぞ! まずは,この脚から捥ぐとするか…えぃっ!]
塾長:痛て~え!
カニの硬い脚の棘は,
見事に塾長の親指と人差し指を突き刺したのでした。
ぷつんと赤い血の球が…。
しかも,塾長は痛さのあまり,
捥ぎ取ったカニの脚の一部を宙高く放り投げてしまったのです。
赤いカニの脚の一部は,白いテーブルクロスの上をコロリンコロリン。
店内:Wow!! Ha! ha!
ウエイター:お客様,この「ハサミ」をお使いください。
塾長:[「ハサミ」? これって「ペンチ」じゃん!?]
副塾長:塾長のヒアリングのミスで「ハサミ」って聞こえたのかも?
塾長 :そんなことはないわい!!
塾長:[まあ,とにかく「ハサミ」だろうが,「ペンチ」だろうが,「スコップ」
だろうが〔注:それはあり得ません〕,あるのならば,それを早く出してよ
~!!]
ウェイター:よろしければ,これもどうぞ。
塾長:[それって,絆創膏じゃん!? 用意してたわけ~?? 〔注:そんなわけあり
ません。〕]]
塾長:それにしても,この「ペンチ」を使って,どこから食べるんじゃ? ………
…とほほ,なんてこった…カニを食べるのでさえ,
Survivalカニ~!!]
この白いレストランのカニ騒動は,
明日から始まるダイナミックな語学研修のプロローグに過ぎなかったのです。
→つづく
注:写真の料理は本文中のレストランのものではありません。